分子科学研究所の概要 63 今年度から理化学研究所との連携融合事業として「エクストリーム・フォトニクス」を開始した。「光を造る」,「光 で観る」,「光で制御する」という3つの観点から,両研究所で相補的にレーザー光科学のより一層の進展を図ろうと するプログラムである。分子研側からは,「光を造る」という観点から
「光波特性制御マイクロチップレーザーの開発」(平等)
「新複合フッ化物の真空紫外発光デバイスとしての探索と新 V UVフェムト秒光源の実現」(猿倉),
「光で観る」という観点から
「時間・空間分解分光による固体表面・ナノ構造物質表面における反応研究」(松本)
「エクストリーム近接場時間分解分光法の開発」(岡本)
「タンパク質立体構造に基づく機能性発光分子の開発と生体機能解析システム」(小澤),
「光で制御する」という観点から
「アト秒コヒーレント制御法の開発と応用」(大森)
「紫外強光子場による反応コヒーレントコントロール」(菱川)
「高強度極短パルス紫外光を用いた超高速光励起ダイナミックスの観測と制御」(大島) の合計8課題を選定し,実行に移している。
まず,両方の組織をあわせて4月に理化学研究所にて第1回の合同研究会を開催した。この研究会は,全体的に各 グループの今までの研究成果を中心に今後の研究計画を披露し,これを中心に議論を行った。これに対して,11月に は「分子イメージングとスペクトロスコピーの接点」を主題とした研究会を行い,より突っ込んだ議論を進めた。ま た,このプログラムを中心に所内に日常的な議論の場としての光分子科学フォーラムを設け,光分子科学の進展を図 ることとした。